25年ほど前、環境NPOの活動を一生懸命していた。本部の大阪にもよく足を運び、ワークショップ形式で様々なことを学んだ。今の自分の生き方のベースには、この時の学びが大きい。
ある時から、いつも参加していたある女性の姿を見なくなった。「もう環境なんかどうでもいい」と離れていったらしい。聞くところによると婚約者を事故で亡くしたらしい。生きる喜びを失ってしまった時、死んでしまいたいと思うほどの悲しみに見舞われたとき、誰だって周りの事なんかどうでもよくなってしまう。正論や善悪を説いてみたところで意味をなさないこともあるのだと、その時の彼女の気持ちも今なら少なからず理解できるようになった。
人が健康に生きるためには、3つの健康が必要だと言われている。
肉体的健康、精神的健康、そして経済的健康だ。
この3つが揃って初めて、人は健康に幸せに生きることができる。満たされているからこそ、環境や自分以外の幸せに対しても心を配ることができるし、気力も湧いてくる。テレビなんかで無差別殺人を犯した犯人は「誰でもいいから殺したかった」とのコメントも珍しくない。生きていくこと暮らしていくことだけに精一杯であれば、周りを思いやる余裕を持つことも難しいし、自身が絶望の中にいれば周りを傷つけることさえ厭わなくなる。格差社会が叫ばれて久しいが、事実子供の貧困率も年々高くなっている。生活保護が受けられず公共料金を払えずに亡くなったという哀しいニュースも数年前、ここ札幌でもあった。
広告なんかを見ていても、残念ながら「環境」というキーワードはめっきり少なくなった。今のキーワードを一言でいうなら「自分」。自分に向き合ってくれるもの、自分を満たしてくれるものに多くの人が反応する。つまりどこか満たされない精神的な何かがあるからだ。これが社会的なものなのか、時代的なものなのかはわからないが、確かに日本という国はいま元気と優しさを失っているように感じる。
こんな時代だからこそ、声高らかに言いたい。
好きなことをしよう。やりたくないことはやめよう。それが何かわからなければ、まず自分の好きなことを極めてみよう。SNSなんかで簡単に同じ趣味の人と出会える時代でもあるのだから。毎日が楽しいと思えることが精神的にはとっても大切。
弊社もクライアントさんには絶対的に儲かってほしいと思っているから思いつく限り、いろんな応援ツールを用意している。経済的に健康でいてほしいから。お互いが健康でないと、助け合うことすらできなくなるから。
そして精神と経済的な健康が維持されれば、肉体的健康はついてくる。毎日飲み過ぎない限りは(笑)
まず自分が幸せになること。3つの健康を実現していくこと。それができて初めて、本当の意味で人に優しくもなれるし、周りのことを思いやることもできる。年齢的に体力の低下を感じる今日この頃、改めて3つの健康の大切さを思い返してみました(笑)

北出敏行

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