早いもので今年も残すところあとひと月。
歳を取ると本当に一年が早く感じますね。
そして12月になると思い出すのが、アンディを石狩保健所に迎えに行った時の事。黒ラブのあんずをお空に還してから、また黒ラブを飼いたいと思っていた。女の子が5匹続いているので、久しぶりに男の子を迎え入れたいとも。そんな折、アンディとの出会いが訪れる。保護犬として収容され、結局飼い主が現れず、わが家の一員となったアンディ。当時推定2歳。寒い北海道の冬、暖房もない建物の中で過ごさせるのが不憫で、12月10日引き渡しのところを保健所の方のご厚意で、9日の夜に引き取らせていただいた。
家に来たばかりのアンディは前の飼い主を探してか、何度も脱走を試みた。保健所での体験が余程寂しく辛かったのか、分離不安も酷く、ちょつとお留守番をさせると家中のものを破壊した。さすがに困り果てて、以前飼っていた老犬黒ラブ・あんずのドックマッサージの先生に相談し、その方の信頼する訓練士さんの力を借りることにした。
実は訓練士さんの力を借りるのは初めてではなかった。あんずが子供の頃に一度相談をしたことがある。1~2歳くらいまでのラブラドールは、かみさんがノイローゼになりそうなくらいとにかくハイパーで、自分の出張が多かったこともあって、相談したことがあった。が、力ずくで押さえつけて上下関係をはっきりと認識させる的なやり方に違和感を覚え、相談することをやめた経緯があった。そんなあんずだったが、いつしかびっくりするくらい穏やかで優しい子に成長していったことを思い出す。
- あんず、みるく、まるこ、まりりん
- ソファーで寛ぐ
- 笑顔のあんず
ただアンディの場合は成犬として引き取ったこともあって、子犬から育てる場合との違いやできるだけ早く絆を築く必要性があったことから、その訓練士さん方針を聞いたうえでお願いすることにした。
子供の頃から実家に犬は居たし、結婚してからもずっと犬を飼っていて、みんないい子に育っていたから、犬との関りについてはそれなりの自信はあった。が、その訓練士さんのやり方はとにかく新鮮で優しさに満ちていて感心したことを覚えている。実践したことは、次の3つだけ。
①できるだけ一緒にいて、毎日十分に散歩をして絆を深める。
②犬が立ち止まって何か気配や興味を感じているようなら、一緒に立ち止まって犬が自分から歩き出すまで待つ(考えさせる)。
③匂いを嗅ぐことは犬の仕事(本能)のひとつ。好奇心が満ちるまで、十分に匂いを嗅がせる。
犬を愛し、犬の意思を尊重(わがままではなく)すれば、犬も飼い主が大好きになって、その飼い主の想いに応えようとする。犬って、それほどに健気で賢いんですよと、教えられた。
きっと人と人との関りも同じなんだなと思う。我々には言葉があって、優しくすることも労わることもできるが、同時に、嘘をつくことも傷つけることもできる。
犬には「愛」しかないとよく言われるが、言葉が通じないからこそ、想い=行動・態度として表れる。そして間違いなく、その姿に我々は癒され、愛しさを感じるのは、我々の本性もまた「愛」だからなのだと思う。
そう生きていきたいものだ。

北出敏行

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